児童書‐備忘録

息子と共有した児童書中心。ときどき一般書籍。

二代目童話探偵シナモンが読み解く!『10歳からのもっと考える力が育つ 20の物語』

10歳からのもっと考える力が育つ20の物語 石原健次 ★★★★★
読了日 2023年9月
#童話 #読み解き #考える力
アスコム 2023年6月15日発売

 

カチカチ山のウサギは正義の暴走?!人魚姫は勇気が足りなかった?!

浦島太郎、みにくいアヒルの子、したきりすずめなど。小さいころから親しんだ童話を、いろんな角度から読み解き!想像力が広がって、考える力まで育っちゃう1冊です。

初代童話探偵のブルースは今回、小学校の校長先生として登場します。童話探偵がつとまるかどうか不安なシナモンへの一言が格言級!

 

「大きな目標を持ってなにかにいどめば、結果としてそれがうまくいかなくても、またちがう道が開ける。まずは、はじめてみることが大切だよ」p.42

 

ブルースの読み解きも納得の嵐だったけど、シナモンの解釈は今っぽいというか、こういう解釈もありよね!という気軽さが良かったです。

 

 

『パンをふんだ娘』と『ツルとカメ』の解釈は、息子に忘れないで欲しいなと感じました。そして『かちかち山』。これって、もはや子どもだけに向けられたメッセージではないと思うんですよね。

 

『どちらが正義で、どちらが悪』。

まわりから見ていると、そんな感情を持ってしまうことがある。

それに対して声をあげ、かかわっていくこともあるでしょう。

だけどあなたが、悪だと決めつけて攻撃してしまったら、そのときは、あなたもだれかからみたら、悪になっているかもしれない。

もし、大切な人がだれかに傷つけられていたら、一緒に問題を解決する方法を考えてあげたり、気持ちによりそってあげたりしよう。

それだけでいいんだよ」p.147-148

 

道徳の教科書にしてもいいのではないかと思ってしまいます!

また『年をとったライオンとキツネ』ではブルースとシナモン、そして助手ブライム3人の解釈が聞けるのも楽しかったです。

いろいろな解釈ができるんだよ!考え方が違っていてもいいんだよ!

読書感想文や自主学習のヒントにもなるシリーズです。

 

 

 

浅草を舞台に少年のふれあいと成長を描いた『車夫』

車夫 いとうみく ★★★
読了日 2023年9月
#浅草 #高校生 #交流と成長物語
小峰書房 2015年11月25日発売


両親の失踪で、高校を中退。打ち込んでいた陸上競技からも、身を引くことになった走。ある日、彼のもとに部活のOBが訪れます。

「お前、車夫やらないか?」

条件は、走ることが好きなこと。そして、顔が良いこと!

 

「イヤな記憶だけじゃなければいいんです、今日が」 p.35

 

苦労や辛さを知っているからこそ、小さな幸せに気がつき、そっと寄り添うことができる。走くんの優しさが随所に散りばめられていて、心が温かくなりました。

 

「いいことも、わるいことも、ぜんぶ消えないし。全部があって、それがいまの自分だから」p.28

 

潔い!潔すぎる!!

頭で分かっていても、失敗した自分、カッコ悪い自分は簡単に受け入れられなくて。悩んで落ち込んで、悩むの繰り返し。

走くんのほうが、よっぽど大人です!!

 

いつか乗ってみたい人力車。

走くんと出逢って、その思いが強くなりました。

 

私たち親子が読んだのは小峰書房さんのハードカバー。3巻まで出ています!文庫本も第2巻まで出版されています。ああ、早く続きが読みたい!

 

植物と話す力を持つ少女の冒険ミステリー『葉っぱの地図』

葉っぱの地図 ヤロー・タウンゼント ★★
読了日 2023年9月
#植物 #冒険 #友情
小学館 2023年7月6日発売

 

物語の終盤になっても、相手を信じようとしないオーラ。ここまで頑なな態度を崩さない主人公も珍しい!

 

植物と話すことができちゃう主人公オーラ。誠実で勇敢でまっすぐな少年イドリス。お嬢様なんだけど実は芯の強いアリアナ。まったく違う個性を持った3人が、大切なものを守るために大冒険!

 

これでもかというくらい衝突しあって、突っぱね続けるオーラ。私だったら耐えられなくて離れちゃうかも...。最後まで信じて寄り添い続けようとするイドリスとアリアナの強さに感服しました!

 

怖がってるだろう!オーラは失敗するのがこわいんだ。

おれやアリアナをたよるのもこわいんだよな。

アリアナに拒否されたらどうしようとか、おれが二人を見捨ててブルーコートに寝返ったらどうしようとか、そんなことばっかり考えているんだ。

先回りしてあきらめたふりをするのは、(中略)こわいんだろう。

ひとつ教えてやる。おれたちだって、オーラとおなじくらいこわいんだ。p.304

 

しょっちゅう息子と衝突している私には眩しすぎる(笑)

諦めずにコツコツと続ける力。そして、自分や大切な人を信じる力。その難しさと大切さを教えてくれる物語です。

 

王子さまと入れ替わっちゃう!?マーク トウェイン『王子とこじき』

 

マークトウェインといえば『トムソーヤの冒険』や『ハックルベリーフィンの冒険』。

この『王子とこじき』も彼の作品だとは思いませんでした!

 

「わたしとおまえは...そっくりだ!」

 

そっくりな王子エドワードと、こじきのトム。軽い気持ちで入れ替わっちゃいますが、全く違う環境で育ったふたり。大丈夫なのでしょうか?!

 

イラストがとても可愛いですよね♡

子どものころにあったら、ぜったい制覇してましたよ(笑)

 

「名場面紹介」と「物語ナビ」で概要がつかめるのも魅力!

イラストや相関図、そして各章が短くなっているので、文字が苦手なお子さんでもサクサク読み進めることができるように工夫がされています。

 

 

イラスト豊富な名作シリーズで予習をしておいて、文字が多い少年少女文庫に移ってもいいかもしれません。

 

我が家の場合は、まず『王子とこじき』を読んでもらってから「同じ作家だよ!」と『トムソーヤ』と『ハックルベリー』を勧めました。そこまで笑う?!というくらい、大爆笑しながら読んでました。

 

こちらのシリーズは、日本の名作もあります。もし経済的に余裕があったら、幼少期から全館揃えたかったくらい。イラストが豊富なので、読み聞かせにも良さそうですね!

 

 

はじめまして

 

絵本を読み聞かせが大好きだった息子。

低学年のころは、自分から進んで読んでいたのに。

学年が上がるにつれて、読書の時間が減りました。

 

語彙力や読解力などの国語力を高めてほしいから。

想像力が豊かになってほしいから。

自分の世界観を広げてほしいから。

 

読書の時間は減らしてほしくない。

 

 

どうしたらいいのかな?

 

 

 

同じ本でなくてもいい。

私も読書を楽しんでいたら、興味がわくかもしれない!

そんな気持ちで始めた、大人読書。

 

気が付いたら、息子も読書を再開していました。

 

 

 

それなら、私も児童書を読もうかな!

 

子どもに書かれた物語だけれど、大人にもガツンとくるセリフが多い。

そりゃ、そうだよね。著者は大人なんだから。

 

こんな時、子ども側はこんな風に考えるのかも!

そうそう、大人はこんな時こういう気持ちなんだよ!!

 

ファンタジー物から、時事問題を扱った奥深いものまで。

新たな発見、子育てヒント満載の児童書。

たくさんの人に読んで欲しいなと思い、ブログをはじめてみました。

 

 

 

年間購読冊数は毎年50冊以上!

多い年は100冊は余裕で越えています。

しかも、その多くは息子と一緒に読了。

中学生になり、息子の読書量は減ってきているのが残念ですが。

これからも親子で読書を楽しんでいきたいと思っています。

 

 

 

ネタバレにならないように。

個人的な視点に偏らないように。

サラッと読める分量で、綴っていきたいなと思います。

 

理科が身近に!小学生向け、科学のお話シリーズ

 

どうして星は光るの?

どうして飛行機は空を飛ぶの?

ウサギの目はどうして赤いの?

 

子どもの無垢で素朴な疑問を、分かりやすく解説してくれるシリーズです。

かわいいイラストが豊富なので、イメージがしやすい!字も細かくなく、漢字にはルビがあるので、サクサク読めちゃう!ひとつひとつの解説が短めにできているので、飽きにくい!

読書が苦手、理科にあまり興味がないお子さんにもおススメです。あと、なかなかまとまった時間が取れないお子さんにも!

息子はADHDグレーっ子なので、じょうずに読書時間を作ることができません。でも、このシリーズは短くまとめられているので、「ここまで」と区切りをつけやすかったです。

 

読み聞かせや音読、自由研究や自主学習のきっかけ作りにも活用できそうですね☆

 

2学年分しか紹介していませんが、6学年分あります!

特別保護司書官? すべての書物に捧げるラブソング『サエズリ図書館のワルツさん1』

読了日 2023年8月
#図書館 #近未来 #本
星海社 2012年8月17日発売

 

とてもいいお話だったよ!先に読了した息子に勧められた1冊。

電子書籍が日常的になり、紙の本は超が付くほど貴重になった近未来。柔らかなイラストに、終始 心温まるストーリーなのかなと思ったんだけど。

 

「本など道楽が集める贅沢品」

 

ものすごく感じの悪い来館者が登場したり、物語終盤で明かされる世界観に驚愕させられたり!フィクションの世界なんだけど、警告めいたところもあって目が離せませんでした。

 

私が読み終えた本は2012年に星海社さんから刊行されたものですが、2023年5月 東京創元社さんから文庫本も出版されました!そちらでは番外編も読めるようです。

とーーっても気になります。

 

第1話 「サエズリ図書館のカミオさん」
第2話 「サエズリ図書館のコトウさん」
第3話 「サエズリ図書館のモリヤさん」
第4話 「サエズリ図書館のワルツさん
番外編「ナイト・ライブラリ・ナイト 真夜中の図書館のこどもたち」

 

第2巻も気になります!!